自家製梅酒はOKで自家製ワインは違法?酒税法について解説!

ワインよもやま話

初夏になると、梅酒を漬け始める方も多いですよね。

熟す前の青梅を、氷砂糖と一緒にホワイトリカー等のお酒に漬け込んで、数ヶ月間寝かせた後で楽しむのは格別です。

梅酒などの自家製果実酒はよく作られていますが、ワインを使って果実酒を作ること、ワインを自作することは法律違反になります。

お酒には「酒税」という税金が課せられているので、誰もが勝手にお酒を作ると極端な話、税収が見込めなくなります。

そのため酒類の製造は免許が必要になり、無免許で酒類を製造、販売することは法律で禁じられています。

梅酒などの果実酒を自宅で作るのが許されている理由は、材料として使われるホワイトリカーや焼酎、ブランデーなどが既に酒税が課せられた状態で販売されているからです。

自宅でお酒を作ることの可・不可は「酒税法」によって定められています。
この記事では、自宅で作ることができるお酒とできないお酒について、その理由と共に解説していきます。

ワインと梅酒、税法上はどう違う?

「酒類」の定義

酒類は以下のように分類され、「酒税」が必ず課せられます。

  • 発泡性酒類:ビールや発泡酒など
  • 醸造酒類:清酒、ワインなど
  • 蒸留酒類:ウイスキー、ブランデー、焼酎、スピリッツ類など
  • 混成酒類:合成清酒、みりん、甘味果実酒、リキュールなど

酒造免許を所持した製造者が法規に則ってお酒を作り、酒税を課せられた上で販売されるため、上記に分類されたお酒を免許なしで作ることは法律違反、つまり密造となります。

梅酒はそれに当たりませんが、「アルコール度数20度以上で、既に課税されたお酒を使用すること」が必須条件です。

既に課税された、というとややこしいですが、要は「市販のお酒」ということです。
お店でお酒を買うと同時に税金を支払っていることになるので、その点はクリアです。

なぜ20度以上なのか

市販されているお酒に梅を漬け込む際に、なぜ20度以上と定められているのでしょうか。

お酒は原材料となる米や麦、ブドウやトウモロコシなどを酵母の力で発酵させて造ります。
これを醸造といいますが、酵母菌はアルコール度が20度を超えてしまうと活動ができなくなるため、新たな発酵は生じません。

アルコール20度を超えていれば、新たに「醸造」する行為は行われないということで、梅酒は違法となりません。

ワインは別途リキュール類を添加したもの(酒精強化ワイン)以外は、度数は高くとも15.5度程度にとどまります。そのため、何らかの原材料を加えることで生き残った酵母菌が活動を始める可能性があります。
そうなると新たな発酵が生じ、お酒を醸造したことになります。

自家製果実酒にも禁止事項がある

使ってはいけない原材料

梅酒などの自家製果実酒に使用されるお酒は、ホワイトリカーや焼酎など20度を超えた蒸留酒なので違法にはなりませんが、使ってはいけない原材料が定められています。

  • 米、麦、あわ、とうもろこし、こうりやん、きび、ひえ若しくはでん粉又はこれらのこうじ
  • ぶどう(やまぶどうを含む。)
  • アミノ酸若しくはその塩類、ビタミン類、核酸分解物若しくはその塩類、有機酸若しくはその塩類、無機塩類、色素、香料又は酒類のかす

出典:国税庁ホームページ【自家醸造】|国税庁 (nta.go.jp)
アルコール度20度以上のお酒にぶどうを入れて発酵するのかは疑問ですが、上記のように定められています。

販売や他人への提供は禁止

もう一点、自家製の梅酒を販売したり、他人(同居親族以外)に提供したりすることも禁じられています。

友人宅に遊びに行き自家製の梅酒を一緒に飲んだ、実家に帰省し母親の手作りの梅酒を飲んだ、といったことも厳密には違法になってしまうんですよね。

実際にそれで取り締まられることはまず無いと思いますが、ご参考まで。

まとめ

梅酒を家庭で作ることはごく一般的に行われています。

お酒には酒税が課せられているため、税収の見込めない「密造酒」を作ることは法に触れますが、梅酒を作ることが可能なのは「既に課税された市販のお酒(アルコール20度以上)」を使用することが条件だからです。

ポイントは「新たに発酵が生じうるかどうか」です。

さらに、梅酒などの自家製果実酒にはあまり知られていない細かな決まりがあります。
使用してはいけない原材料があることと、自分と同居家族のみの自家消費であること。

厳しい条件ではありますが、酒税法上のルールを守りさえすれば何ら問題ありません。
梅酒の他にもいろいろなフルーツを使って、オリジナルの果実酒を作ってみるのもいいですね♪

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