スクリューキャップのワインは安物?スクリューキャップの利点について解説!

ワインの基礎知識

 

ワインの栓といえば、まずコルクが思い浮かびます。

ワインオープナーやソムリエナイフなどでスムーズに抜栓すると気持ちのいいものですが、それらがないとワインを飲むことも出来ません。

そこで便利なのが「スクリューキャップ」です。

最近ではスクリューキャップのワインが増えていて、道具も必要なくとても便利に思う反面、ちょっと安っぽいイメージがありませんか?

結論から言うと、スクリューキャップ=安物、ではありません。

実は高級ワインにもスクリューキャップは採用されていて、しかもニュージーランドやオーストラリアのワインは殆どがスクリューキャップなのです。

道具が要らない以外にもスクリューキャップのメリットはたくさんありますので、本文で詳しく解説していきますね。

 

スクリューキャップの利点

飲み残しても大丈夫!

ワインをスクリューキャップにする利点の1つが、飲み残し対策です。

大勢でワインを楽しむ時であれば、全てのボトルを空にすることも出来ますが、家飲みの時やあまりお酒が強くなくてボトル1本を飲み切れないという場合には飲み残し問題が発生します。

抜いたコルクを再度挿し込んだり、シリコン製のワインキャップを使ったりしてとりあえず保存しても、翌日または数日中に飲み切らないと風味が劣化してしまいます。

また、保存中に万が一倒れてしまったらこぼれてしまうため、横置きのワインセラーには入れられません。

スクリューキャップならしっかり栓が出来ますし、ワインセラーに寝かせて入れてもこぼれることはありません。

とはいえ、一度抜栓したワインは出来るだけ早めに飲むことをおすすめします。

ブショネのリスクが無い

コルク栓の一番の問題が「ブショネ」です。ブショネとは、細菌などで汚染されたコルクにより異臭(段ボールの湿った臭いに例えられる)が発生しワインの風味が損ねられた状態です。

コルクの原料はコルク樫(かし)の樹皮で、組織内に無数の気泡が含まれています。

気泡によってワインに酸素を透過させる役割があるため、熟成には大いに役立つものですが、細菌が入り込みやすいのも確かです。

コルクとして加工する前に消毒を経ていますが、それでも残ってしまった微量の微生物が消毒の際に使われる塩素と結びついてTCA(トリクロロアニゾール)を発生させます。これがブショネの原因です。

ブショネの発生率はおおよそ5%といわれ、100本のうち5本にあたります。かなりの確率です。

その点、スクリューキャップにはブショネのリスクがありません。

せっかく高いお金を出して買ったのにブショネだった、そんなリスクも回避できます(レストランで抜栓したワインはソムリエさんが確認し、ブショネだった場合は交換してもらえるのが一般的ですが、店頭や通販で購入した場合は販売店によるので確認が必要です)。

道具なしでいつでも開けられる

以前、筆者が友人とお花見に行った際にワインオープナーを忘れてしまい、わざわざ1㎞以上離れたスーパーまで買いに行ったという苦い思い出があります。

そんな時、道具がなくても手で簡単に開けられるのがスクリューキャップの良いところです。

万が一抜栓に失敗してコルクが途中でちぎれてしまった、あるいは中に落ちてしまった等というアクシデントとも無縁です。

スクリューキャップが主流のワイン生産国がある!

ニュージーランドでは99%

ニュージーランドでは、99%ものワインがスクリューキャップです。

スクリューキャップ自体がワインの栓として本格的に使用され始めたのは1970年代です。

当時、オーストラリアやニュージーランドといった南半球のワイン新興国では、コルクの輸入に大きなコストがかかっていました。

また、良質のコルクはヨーロッパのワイナリーに優先して流れてしまい、新興国に渡るコルクは品質も良くなかったこと、コルクのダメージによりワインが変質する問題があったことから、オーストラリアの生産者が本格的に採用を始めました。

2000年には、オーストラリアの銘醸地クレア・ヴァレーの生産者13社が、白ワインにスクリューキャップを使用する宣言をしました。それに続いたのがニュージーランド・マールボロの生産者たちでした。

マールボロも白ワインの生産で有名ですが、ブショネによるワインへの悪影響は白ワインにおいて顕著だったためです。

現在ではニュージーランド産ワインの99%にスクリューキャップが採用されており、高級ワインでも例外ではありません。

スクリューキャップ=安物ではない

スクリューキャップには多くのメリットがあり、前述したオーストラリアやニュージーランドといったワイン新興国だけでなく。ワイン伝統国であるイタリアやフランス、また近年高級ワインが続々とリリースされているアメリカのワイナリーでもスクリューキャップを採用する動きは広がっています。

とはいえ、ソムリエが専用ナイフを使ってキャップシールをくるりとカットし、流れるような手つきでコルクを抜栓する姿には惚れ惚れしますし、ワンランク上の雰囲気を醸し出してくれるのも確かです。

ソムリエ試験には「実技」も含まれていますので所作が美しいのは当然ですが、コルク栓ならではの「風情」もありますよね。

実は、スクリューキャップにも美しい開け方があるんです。

キャップ部分を片手でしっかり固定して、ボトルの底部分を「カチッ」と音がするまで回し、音が鳴ったらキャップを回して栓を開けます。

最初からキャップ部分を回してしまうと、ドリンク剤と同じになってしまいますが、この方法ならスマートに抜栓できるので是非試してみてくださいね。

まとめ

スクリューキャップのワインは、コンビニやスーパーなどどこでも売っているような安物、という先入観が筆者にもありました。

それでも最近では、イタリアやフランスのワイン伝統国でもスクリューキャップを採用するワイナリーが増えてきていて、決して安物だからスクリュー、ということではありません。

コルク栓には高級感があり、酸素透過によって熟成を助けるというメリットがありますが、ブショネのリスクや飲み残した時の取り扱いが難しいというデメリットがあります。

スクリューキャップにすることでコルクのデメリットが解消されることもあり、私たちユーザーにとっても良いことずくめです。

スクリューキャップ=安物ワイン、という先入観がなくなることで、新しいワインとの出会いがあるかも知れないですね。

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