春から初夏にかけては、ガーデニングが楽しい季節になります。
我が家ではパンジーやビオラ、チューリップなど春の花が終わり、初夏~夏の花に植え替える作業や、野菜とハーブの植え付けを楽しんでいます。
そんな時に庭に現れるのが「ドクダミ」。
抜いても抜いても生えてきて、気が付けば地面を覆いつくす上に、あの独特な匂い……
庭の厄介者のドクダミですが、薬草として用いられ、ドクダミ茶のティーバッグなども市販されています。
いっそのことお茶にして有効活用してみようと思い立ちました。
厄介者のドクダミ、実はこんな植物
庭の困った厄介者
ドクダミは、ドクダミ科ドクダミ属の多年草で、日本でも北海道から九州までの広い範囲で自生しています。
湿った場所を好み、長い地下茎を張り巡らせて増えていくことから、厄介な雑草として扱われることが多いのも事実です。
実際に草むしりをしていると、元々植えていた植物を押しのけるほどの勢いで生えていますし、地上部を抜いても残った地下茎からまたどんどん生えてきます。
その生命力としぶとさから、ガーデニング愛好者からは嫌われ者のレッテルを貼られがちです。
ドクダミの別名「十薬」
「十薬(じゅうやく)」はドクダミの別名です。
ドクダミを馬に食べさせると十種もの効能があるといわれてきたことが由来ですが、ドラッグストアや通販サイト、健康食品店などでティーバッグのドクダミ茶が販売されているように、身近な薬草としてのイメージがあります。
ドクダミの名前の由来は「毒溜め」「毒矯め(どくため)」などで、溜め込んだ毒を抑えるといった効能があるとされてきました。
名前のイメージから毒があるように思えますが、実際はその逆で、生薬や民間療法として用いられてきた歴史があり、市販のブレンド茶や化粧水の原材料にもなっています。
十の効能というのは大袈裟なのかも知れませんが、主な成分はルチンやクエルセチン、クエルシトリンといったフラボノイド類、そしてカリウム、マグネシウム、鉄、亜鉛などのミネラル類も含まれています。
実際に、厚生労働省の「日本薬局方(医薬品の規格基準書)」には生薬の「十薬」として記載されています。
よく見るときれいな花?
庭の嫌われ者といわれるドクダミですが、5月下旬~6月にかけて咲く花をよく見てみると、十字型の白く清楚な姿をしています。
白い花びらのように見えるのは「総苞片(そうほうへん)」といって葉が変形したもの、花の本体は中央の黄色い穂のようになった部分です。
あまりにもそれ自体のイメージが良くないので、花の美しさを顧みられることのないドクダミですが、よく見ると楚々として可愛らしいものです。
小さなガラス瓶に挿して、玄関などに飾ってみるとちょっとイメージが変わるかも知れません。
ドクダミ茶を作る
ドクダミ茶を作ってみた
知人がドクダミ茶を作ってみたところ、意外に簡単に作れてそれほどクセもないということだったので、庭のドクダミに辟易していた筆者も試してみようと思いました。
まずは草むしりがてらドクダミを摘み、洗って土や汚れを除いて水気を取り、ビニール紐などで束にします。
その際にあまり大きな束にし過ぎると、乾燥しづらくなりカビが生えやすくなるので注意が必要です。
束ねたドクダミを陰干しにします。直射日光が当たり過ぎるとドクダミの成分が破壊されるため、風通しの良い日影がベストです。
4~5日間干しておくと乾いてきますが、今年の春から初夏にかけては天候が変わりやすく、雨予報の時には室内に取り込んだりビニールを被せたりとなかなかに苦労しました。
乾いたら束ねた根元を切り取り、全体を3cmくらいの長さに切り揃えます。
カラカラに乾いている場合はこのまま使えますが、乾きムラがあったり湿気の多い日が続いたりするとカビや劣化の原因になるため、フライパンで乾煎りします。
フライパンに油をひかずに乾燥ドクダミを入れて、弱火で完全に水分が抜けるまで焦がさないように煎ります。
粗熱が取れたら保存容器に移し、乾燥剤を添えて完成です。意外に簡単ですよね。
ドクダミ茶の味、香り、飲み方について
ドクダミのあの強烈な匂いを想像すると、どうも口にする気が起きない……というのもわかります。
筆者もはじめはあの匂いが残っているのではないか、味にクセがあるのではないかと二の足を踏んでいました。
恐る恐る飲んでみると、意外にも生のドクダミ特有の匂いはありません。
ちょっと干し草っぽいかな、という程度で、そのままでも問題なく飲めましたし、フライパンで煎ったことで香ばしさもありました(味覚には個人差がありますので参考までに)。
ヤカンで煮出す、急須で淹れるなどのやり方がありますが、筆者は手軽なお茶パックに入れて大きめのマグカップで毎朝飲んでいます。
濃い目に作ると少しえぐみのようなものを感じましたが、氷を入れて薄めたり、緑茶や麦茶とブレンドしたりすると飲みやすくなります。
姿を見る度にイライラしていた庭の厄介者が無料の健康茶になったことで、ドクダミがまた生えてきても「お茶の原料が手に入った」くらいに意識が変わりました。
まとめ
初夏になるとあっという間に庭にはびこってしまうドクダミは、しぶとい生命力と強烈な匂いで嫌われ者の雑草とされていますが、十の効能がある「十薬」として古くから用いられてきました。
実際に豊富なフラボノイド類やミネラル類が含まれ、厚生労働省からも生薬として認められています。
そんなドクダミを使わない手はない!とばかりに、ドクダミ茶作りにチャレンジしてみました。
作り方は意外に簡単で味にもそれほどクセがなく、アレンジも利くドクダミ茶、今では毎朝の習慣になっています。
厄介者のドクダミを有効活用することで、ドクダミが生えてきても嫌な思いをすることがなくなりました♪