秋の恵み、さつまいもを食べよう!品種ごとのおすすめ料理は?

季節の風物詩

今年獲れたさつまいもが店頭に並ぶ季節になりました。

さつまいもの食べ方には、焼き芋やふかし芋、天ぷら、スイートポテト、大学芋など枚挙にいとまがありません。

焼き芋といえばほくほくした食感というイメージでしたが、最近では安納芋や紅はるかなど、しっとりした食感の焼き芋が人気になっています。

さつまいもの肉質には「粉質」「粘質」があり、それぞれ品種によって口当たりが異なるため、それぞれ向いている料理が変わってきます。

秋が旬のさつまいも、さつま芋の豆知識

さつまいもはどこから来たの?

薩摩(さつま)という名前から、鹿児島県が由来と思われがちですが、半分当たっています。

原産国はメキシコやペルーといった熱帯アメリカで、紀元前800年頃には既に盛んに作られていました。

その後15世紀になってコロンブスがヨーロッパに持ち帰りましたが涼しい気候に合わず、アフリカやインド、東南アジアに持ち込まれたことで世界中に広まりました。

日本には中国から、琉球(現在の沖縄県)を経由して薩摩(鹿児島県)にもたらされました。

さつまいもの別名として「甘藷(かんしょ)」「唐芋」がありますが、甘藷とは中国での呼び名で、唐芋は唐(中国)の芋という意味です。

鹿児島県はさつまいも生産量全国一位を誇っており、日本におけるさつまいものホームグラウンドといえます。

青木昆陽とさつまいも

社会科の授業で「青木昆陽」について学びますが、さつまいもと関連付けて思い出す方も多いのではないでしょうか。

江戸時代は徳川幕府が15代も続き、さまざまな文化が発展するなど平和な時代にも思われますが、幾度となく飢饉に見舞われ多くの人が犠牲になっています。

なかでも1731年に起きた享保の大飢饉では長雨と冷夏で稲作が大打撃を受けた結果、何万もの餓死者を出しました。

時の8代将軍徳川吉宗はこれを教訓に、米以外の作物を作ることを奨励し、その一つがさつまいもでした。

さつまいもはやせた土地でもよく育ち、逆に肥えた土だとつるばかり伸びて芋が育ちにくくなります。

そんな性質も注目されたのか、幕臣であり蘭学者、儒学者であった青木昆陽は幕府の命を受け、さつまいもの試作を始めました。

試作した場所は現在の東京都小石川植物園、千葉県の千葉市幕張町、同じく千葉県の九十九里町です。

京成線幕張駅近くには「青木昆陽先生甘藷試作の地」および昆陽を祀った「昆陽神社」があります。

ちなみに、試作した3ヵ所のうち栽培に成功したのはこの幕張の地だけだったともいわれており、今も千葉県は鹿児島県、茨城県に次ぐさつまいもの産地となっています。

収穫後は1ヶ月寝かせる

秋になるとさつまいも掘り体験があちこちで開かれたり、お子さんの幼稚園や学校で芋掘りが行われたりしますよね。

がんばって掘ってきたさつまいも、持ち帰ってすぐに焼き芋にして食べたいところですが、掘ってすぐのさつまいもは残念ながらそれほど甘くありません。

掘りたてのさつまいもを食べてがっかりした経験をお持ちの方もいるかも知れません。

さつまいもにはデンプン質が豊富に含まれていますが、ある程度時間を置くことでデンプンが糖に変わる性質があります。

そのため掘ってすぐ食べるのではなく、2週間~1ヶ月を目安に「寝かせる」ことで甘くなります。

さつまいもを寝かせるには、収穫後に半日から1日乾燥させて、土が付いたまま新聞紙にくるんで涼しい場所に置いておきます。

また、低温にも弱いため冷蔵庫には入れず、室内の涼しい場所に保管しましょう。

土が付いたままだと抵抗がある人もいるかも知れませんが、さつまいもは土を洗い落とすと傷みやすくなるので、調理する直前に洗うようにします。

品種ごとの特徴とおすすめの食べ方

粉質のもの(ホクホク食感)

水分が少なめで、デンプン質の多いホクホクした食感が特徴で、主なものは紅東(べにあずま)、紅さつま、鳴門金時などです。

焼き芋にふかし芋、天ぷら、大学芋、さつまいもご飯など、どんな食べ方でも美味しく食べられます。

天ぷらにすると、サクッとした衣とホクホク食感、芋の甘みと天つゆ、それぞれがうまく絡み合って本当に美味しいですよね。

焼き芋にすると口の中の水分が取られる感覚がありますが、コーヒーや緑茶と合わせるとまた違った味わいが楽しめます。

また、粉質のさつまいもは粘質のものに比べて繊維が目立たないので、スイートポテトなどのお菓子作りにも向いています。

粘質のもの(しっとり&ねっとり食感)

こちらは水分が多く、しっとりねっとりした甘みの強いタイプです。

主な粘質さつまいもの種類は、紅はるか、安納芋、シルクスイートなどがあります。

おすすめの食べ方は何と言っても焼き芋です。

粘質のさつまいもは糖度が高く、加熱することで蜜があふれ出してくるほどです。

ねっとりとした舌ざわりに加え、繊維質がしっかり感じられる不思議な食感が人気ですが、粘質の代表格ともいえる紅はるかは2010年生まれという新しい品種です。

焼き芋専門店などで爆発的な人気になっている粘質系さつまいもは、焼いてから冷やして食べる「冷やし焼き芋」としてもこの数年で注目されています。

さつまいもの糖分は、冷やすことで難消化性デンプンの「レジスタントスターチ」に変わるため、吸収がゆるやかになることも見逃せません。

粉質系のさつまいもと比べると、調理やアレンジを加えるよりもシンプルな食べ方が向いているといえます。

まとめ

秋になるとあちらこちらで「芋掘り体験」の案内を目にしますが、掘りたてのさつまいもはデンプンが糖化されておらず甘くありません。

そのため1ヶ月ほど涼しい場所で寝かせて、デンプンが糖に変わるのを待ちます。

さつまいもといえば鹿児島県が有名ですが、元は熱帯アメリカが原産で東南アジアから中国を経て日本にやってきました。

江戸時代には飢饉対策として、やせた土地でも育つさつまいもの栽培が奨励されたほどです。

さつまいもは品種によって肉質が異なり、ホクホクした食感の粉質さつまいもは紅あずまや紅さつま、鳴門金時などがあります。

粘質は水分が多く、焼くことで糖度がとても高くなる性質があり、紅はるかや安納芋、シルクスイートなどが良く知られています。

焼き芋だけでなく料理やお菓子作りでも楽しめるのは粉質、シンプルに焼いて食べるなら粘質のさつまいもが向いています。

食べ方によって品種の使い分けを楽しみながら、旬のさつまいもを楽しみましょう。

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