春の七草を使って七草がゆを食べよう!無病息災への願いをこめて

食文化

正月休みも終わって通常の生活に戻る1月7日には、七草がゆを食べる習わしがあります。

お正月のごちそうで疲れた胃腸を、あっさりとした七草がゆで労わると同時に、この一年の無病息災を願う意味合いがあるとされています。

七草がゆには「春の七草」が使われますが、最近ではスーパーで春の七草セットとしてパック入りで売られています。

日本古来の伝統に「手軽さ」を加えながら続けていくのが現代風なのかもしれません。

春の七草とその由来

7種類の食用になる若草

春の七草は「せり、なずな、ごぎょう、はこべら、ほとけのざ、すずな、すずしろ」の7種の若菜を指します。

スーパーでも売っている芹や、ぺんぺん草としても知られるなずな、はこべ等は今も普通に見られますが、「ごぎょう」「ほとけのざ」は名前を聞いてもピンと来ないかもしれません。

ごぎょう

「ごぎょう」は「ハハコグサ(母子草)」と書くとわかる方も多いのではないでしょうか。

草全体がやわらかな綿毛に覆われた、薄黄色の小さな花を咲かせる植物で、道端などでふつうに見かけることができます。

昔は草餅を作るときにヨモギではなく母子草が使われ、母子餅といわれていたそうです。

3月3日の節句には、母と子を表した人形を飾って母子餅を供えたことから、ははこぐさの別名として「御形(ごぎょう)」と呼ばれるようになりました。

ほとけのざ

「ほとけのざ」は漢字で書くと「仏の座」。実はホトケノザと呼ばれる植物は二種類あり、全く異なる植物です。

道端や花壇の雑草としてよく見られるのが、シソ科オドリコソウ属のホトケノザで、葉が茎を囲むように出て台座のような形になっており、赤紫色のシソ科特有の唇状をした花を咲かせます。

春の七草に数えられるホトケノザはキク科の植物で別名を「コオニタビラコ」といい、小さなタンポポのような黄色い花を咲かせます。

冬の間に葉がロゼット状に広がって寒さをしのぐことから、その姿を仏様の台座になぞらえてその名がついたとされています。

「はこべら」はハコベのことで、道端によく生えている雑草ですが、鳥などのエサとしても知られています。

小学校の頃、近くに生えていたハコベを摘んで、学校で飼っていたウサギによくあげていた思い出があります。

「すずな」はカブ、「すずしろ」は大根の古い呼び名で、市販の春の七草セットにはミニサイズのカブと大根が入っていますよね。

七草がゆの由来

七草がゆのもつ意味は、「お正月に暴飲暴食した胃腸を休めるため」「無病息災を願うため」というのが現代では一般的です。

日本には古来より「若菜摘み」という年中行事があり、早春に雪の間から芽吹いた若い野草を摘んで食すことで薬効と邪気払いを願ったといわれています。

万葉集や古今和歌集にも若菜摘みの場面が数多く詠まれているように、宮中の重要な行事であったことがわかります。

一方、中国では1月7日が「人日(じんじつ)」の節句にあたり、7種類の若菜を入れた羹(あつもの=汁物のこと)を食べて無病息災を祈る風習がありました。

その二つの文化が融合し、平安時代には1月7日に七草がゆを食べる風習が生まれて現代に繋がっているとされています。

七草がゆのしきたり

七草がゆは、1月7日の朝に食べるのが本来の形です。

また、前日の夜から七草を一種類ずつまな板の上で叩いて細かくしていくのが本来の作法で、その際に「七草ばやし」という短い歌が歌われます。

「七草なずな 唐土の鳥が 日本の国に 渡らぬ先に ストトントン(東京都)」といったものを歌い(唱え)ながら叩いていくとか。

詞は地方によって微妙に言い回しが異なりますが、唐土(=中国)の鳥が日本に来ないうちに七草を叩くといった内容になっています。

唐土の鳥は渡り鳥と解釈できますが、正確な意味はわかっていないようです。

七草はどこで手に入る?

スーパーで七草セットが買える

芹やカブ、大根はスーパーで普通に買えるけれど、その他の野草は調達するのが難しいですよね。

そもそも見分けがつくかどうかも怪しいですが、最近では七草セットがスーパーでも市販されています。

ミニサイズで可愛らしいカブや大根、なかなか手に入りづらいゴギョウやホトケノザも(小さいですが)揃っています。

セットを使えば春の七草が完璧に揃うので、日本古来の風習に則って七草がゆを食べることができます。

(残念ながら、なずなとごぎょうが傷んでいました……)

自然の草を摘む場合は

野草採集に詳しい方や、七草が手に入りやすい方なら自然の草を摘むことがあるかもしれません。

芹は水辺に生える性質があるので、近くに小川などがあると手に入りやすく、ハコベやナズナ、ハハコグサも道端や畑の近くに自生していることが多いです。

但し、芹によく似た猛毒の「ドクゼリ」という植物が同じ場所に生えている可能性がありますし、自生している草のそばで動物が排泄していたり、除草剤が撒かれていたりすることも十分考えられます。

野草の種類を特定することは非常に難しく、似た毒草を摘んでしまう危険性もあるため、慣れていない方にはあまりおすすめできません。

七草がゆのアレンジと付け合わせ

七草がゆは米から土鍋で炊き、さっと茹でた青菜を刻んで炊き上がりに混ぜるというのが基本のレシピですが、筆者はものぐさなので残りご飯を利用しておかゆを作ります。

出来上がったおかゆに塩をひとつまみ加え、刻んだ青菜を加えてサッと混ぜれば出来上がりなので、時間のない朝でもすぐに作れます。

ところで、家族から「物足りない」と言われたり、子供が「青臭くて美味しくない」と食べてくれなかったり、という話を聞くこともあります。

そんな時はアレンジや付け合わせで美味しく食べましょう。

梅干しや明太子、温泉玉子などをトッピングするだけでも食が進みますし、佃煮や塩辛など「ご飯の友」になる副菜を添えるのもおすすめです。

具沢山の味噌汁や野菜の煮びたし、玉子焼きを付け合わせても良いでしょう。

まとめ

お正月気分が明ける頃、ごちそうで疲れた胃腸を労わる意味で七草がゆが食べられています。

七草がゆの風習は、日本古来の「若菜摘み」と中国の「人日の節句」が融合する形で、平安時代には確立されていたようです。

春の七草は「せり、なずな、ごぎょう、はこべら、ほとけのざ、すずな、すずしろ」で、今ではあまり馴染みのない野草もありますが、スーパーでは7種類全て揃ったパックが販売されています。

古来から続く風習を手軽に取り入れながら、今年の無病息災を願って七草がゆをいただきましょう。

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