さつまいもの美味しい季節ですが、一般的にさつまいもの可食部は根が膨らんだ部分です。
筆者は市民農園を借りて小さな畑仕事をしていますが、今年はさつまいもを栽培し、収穫を終えたところです。
夏が暑く、晴れた日が多かったおかげか大きな芋がたくさん獲れましたが、ツルや葉がよく繁り過ぎて刈り取りがとても大変でした。
そこで、さつまいもの葉は食べられるのかを調べてみたところ、美味しく食べられることがわかりました。
意外にクセが無く、手軽に美味しく食べられるさつまいもの葉と茎のレシピを紹介していきます。
さつまいもの栽培記録
「宮崎紅」を6月中旬に植え付け
借りている農園の広さはおよそ3畳分といったところで、春にはジャガイモを栽培していました。
ちょうど梅雨入りする直前にジャガイモを収穫する予定でしたが、6月上旬に雨が続いたおかげで収穫が遅れた分、その跡地へのさつまいも植え付けが遅くなってしまいました。
さつまいもの植え付け時期は5月中旬から6月中旬が目安で、やや遅めではありますが夏の猛暑にしっかり日差しを浴びてくれれば問題ありません。
ジャガイモ収穫後に跡地を耕して、肥料は加えずに10株の苗を植えました。
「宮崎紅」は名前からもわかる通り、宮崎県ブランドのさつまいもです。
最近の流行りになっている「ねっとり&糖度高め」とは違い、昔ながらのほくほくしてあっさりした、甘さ控えめの品種です。
濃厚な甘みはありませんが、なつかしい味わいの焼き芋の他に天ぷらやスイートポテト、大学いも、芋けんぴなど幅広いアレンジが利きます。
栽培地は宮崎県南部の串間市が中心で、オリジナルブランドなので他地域での商業生産はできませんが、家庭菜園用に苗がネット販売されています(筆者もネットで苗を購入しました)。
猛暑で葉がたくさん茂った夏
植え付けは6月15日と少し遅れましたが、約一週間で無事活着しました。
さつまいも栽培のコツは、肥えた土で栽培しないことと、水をやり過ぎないことなので、基本的に放置で構わないレベルです。
ジャガイモを収穫した後、肥料を加えない状態で植えたのと、水やりは雨任せにしたのでそこはクリア。
1ヶ月もすると勢いよくツルが伸び、どんどん葉を出していきました。
途中で土寄せを数回と、「ツル返し」といって伸びたツルを土から剥がして(土にツルが着くと根が出てしまうので)折り返す作業くらいしかすることがありませんでした。
特に今年は記録的な猛暑で、晴天の日が多く35℃を超えることも珍しくなかったため、葉の茂る勢いはかなりのものでした。
小学校の理科で習った「光合成」を思い出しますが、たっぷりと太陽の光を浴びることで芋が大きくなることを期待しました。
大きなさつまいもがごろごろ
秋口になってからはさつまいもの成長がどうなっているか、そわそわと落ち着かない日々が続きました。
6月中旬に植え付けをしたので、収穫目安は早くとも10月中旬~下旬です。
結果的には少し早めの収穫となり、10月14日に最初の収穫をしました。
収穫の少し前にツルを根元部分から切ることで、収穫が楽になるのに加え、葉を育てるため根からの栄養流出をカットされることで甘くなるという説もあるようです。
収穫の数日前からツル切りを始めましたが、その際に試し掘りをしてみたところかなり芋が大きくなってきているので、少し収穫を前倒しにしました。
少々不恰好ながら、大きな芋がごろごろと出てきました。
これは3株分の収穫なので、この3倍近くが総量になります。
大きな芋がいくつも出来た株もあれば、つるボケしたようで1個くらいしか付かなかったものもあり、それも自然栽培ならでは。
ここから1ヶ月ほど涼しい場所で寝かせます。
さつまいもの葉と茎を食べよう!
葉と茎も食べられる?栄養成分は?
収穫前のツル切りをしたものの、大量のツルをどうしたものか……
処分するしかないのですが、農園には草ゴミを捨てる場所がなく、持ち帰るか埋めて肥料にすることになります。
とはいえこの量、少しでも減らすにはどうしたら良いかと考えたら、前にどこかで聞きかじった「食べる」という方法を試してみようと思いました。
実際、さつまいもの葉と茎は食べられます。
アクが強いイメージがありますが、意外にもアク抜きなしで食べられましたし、えぐみやクセもありません。
(アク抜きを推奨しているサイトもあるので、品種によるのかも知れません)
葉や茎に含まれる栄養素は、ビタミンB2、ビタミンC、ビタミンE、ルテイン、ポリフェノール、他にもミネラルや食物繊維が豊富です。
せっかくなので若い葉と茎を試しに食べてみることにしました!
さつまいもの葉の天ぷら
さつまいもの葉は、米粉の衣をうっすらとまとわせて天ぷらにしました。
大葉の天ぷらを揚げる要領で、揚げ過ぎると色が悪くなるので、火が通ってパリッとしたら引き上げます。
全くといっていいほどクセがなく、ほんのり緑茶のような風味がありました。
天つゆでも塩でも、美味しくいただけますよ。
ちなみに、刻んでキャベツの代わりにお好み焼きにもしてみましたが、クセが無さ過ぎて今一つでした……
さつまいもの茎のきんぴら
さつまいもの茎で食用にする部分は、横に伸びるツルではなく先端に葉の付いた部分です。
ツルを切ったら茎を切り離しますが、葉がしおれていたり虫食い状態になったりしている場合は葉を取り除きます。
さつまいもの茎をきんぴらにしたらとても美味しかったので、簡単なレシピを紹介します。
- 茎から葉を切り離し、流水でよく土を洗い流す。
- 長さ5cm程度に切り揃えて、アクが気になる場合は下茹でをする。
- ごま油で炒め、しんなりしたら希釈しためんつゆ、みりんを加えて水分が飛ぶまで炒める。
茎が硬い場合は皮を剥きますが、若い茎(ツルの先端部分に近いところ)は柔らかいのでそのまま調理しました。
さつまいもらしいほのかな甘みを感じられて、想像以上に美味しかったです。
まとめ
さつまいもを収穫する際に大量に出るツルですが、葉と茎は食用にすることができます。
ツル部分は硬いので食べられませんが、茎と葉を取って食べることでゴミを減らせますし、栄養豊富な食材でもあります。
ビタミンB2やC、E、ルテインやポリフェノール、ミネラルや食物繊維も豊富です。
家庭菜園でもない限り野菜として出回ることは殆どないのでレアな食材ともいえますが、葉はてんぷらに、茎はきんぴらにすると美味しく食べられます。
畑のゴミを減らしたいところからの試みでしたが、さつまいもの葉も茎も食べることで有効利用できました。