ワインとワインビネガーの違いは?お酢とお酒の意外な関係も!

食とワイン

料理にお酢を使う時、用途によって使い分けをする方も多いかと思います。
米酢などの穀物酢、りんご酢、黒酢、ワインビネガー、バルサミコ酢……と、全て揃えているとしたらかなりの料理好きではないでしょうか。

ところで、ワインビネガーはワインとどう違うのか、アルコ―ルは含まれているのか疑問に思ったことはありませんか?
ワインビネガーはワインと同様にブドウ果汁を酵母で発酵させて作られますが、ワインとの違いは、その後で酢酸菌を加えることでアルコールを分解し、酢に変える点です。

ワインビネガーだけでなくお酢の多くはお酒から作られていますが、お酢の中にアルコールは含まれていません。
そのカギを握るのが「酢酸菌」です。

本文ではワインとワインビネガーの違いや、お酢とお酒の意外な関係についても解説していきます。

ワインビネガーとバルサミコ酢

ワインとワインビネガーの製法

ブドウから作られる酢には、大きく分けてワインビネガーとバルサミコ酢があります。

ワインとワインビネガーは、途中までは同じ製法です。ブドウを搾って酵母を加え、アルコール発酵をさせるまではワインと一緒ですが、ワインビネガー用の醪(もろみ)には酢酸菌を加えてさらに発酵させます。

酢酸菌はアルコールを分解して酢を作る働きをします。発酵が進むにつれて酸度は上がり、酢が完成されていきます。

酵母がブドウの糖分を分解してアルコールを作り、酢酸菌がアルコールを分解して酢にしてしまうというのは面白いですよね。

こうして出来たのがワインビネガーで、白ブドウ由来のものは白ワインビネガー、赤ワインの原料となる黒ブドウ由来のものは赤ワインビネガーといわれます。

バルサミコ酢との違い

バルサミコ酢もワインビネガーと同様にブドウを原料としていますが、製法は全く違います。

バルサミコ酢はブドウの搾り汁を煮詰めて、木の樽に入れて自然熟成させます。その際に酵母は加えないのでアルコールは発生しません。

木の樽の中でじっくり長期間熟成させることで独特の黒褐色となり、まろやかで深みのある味わいが生まれます。
ワインビネガーはフランス発祥ですが、バルサミコ酢はイタリアが本場です。

バルサミコ酢はリーズナブルなものでも5年~10年の熟成を経ていますが、伝統的なバルサミコ酢としてDOP(デノミナツィオーネ・ディ・オリージネ・プロテッタ=イタリアの原産地保護制度による規格)に認定されているものは12年または25年物のみで、産地や製法、ブドウ品種などが厳しく定められています。

さらに50年や100年といった長期熟成ものも存在し、かなりの高級品として珍重されています。

酢と酒の意外な関係?

お酢はお酒から作られる?

ワインビネガーがワインから作られるように、米酢は日本酒から作られます。

ワインビネガーや米酢に限らず、多くの酢は実はお酒から作られています。

お米を蒸して米麴と水を加えた「もろみ」に酵母を加えて作られるのが日本酒ですが、そこに酢酸菌を加えて酢酸発酵させることで酢が作られます(メーカーによって細かな違いはあります)。

リンゴ酢も同様に、リンゴの果実に酵母を加えて発酵させた「アップルワイン」に酢酸菌を加えて酢酸発酵させます。

「酢」と「酒」字が似ていますよね。

「酉(トリ)」という部首が共通していることからも、酢と酒は密接な関係があることがわかります。

英語の「vinegar」の「vin」はワインを意味し、フランス語で酢を指す「vinaigre(ビネーグル)」は「vin(ワイン)」「aigre(酸っぱい)」が語源です。

このことからも、食文化において酢と酒とは切り離せないものということがわかります。

アルコールは含まれる?

酢は酒をもとに作られますが、アルコール分は残っていないのでしょうか。

酢酸菌はアルコールをエサにして発酵するため、出来上がった酢にはアルコールは残りません。

特にワインビネガーにはアルコールが入っているのでは?と思ってしまいそうになりますが、全く心配はありませんし、そのまま料理に使っても何ら問題はありません。

お酢を大量に摂ることは考えにくいですが、お酢で酔っ払ったという話は聞いたことがないですよね。

これまで何となくワインビネガーを敬遠していたという方も、是非活用してみてはいかがでしょうか。

まとめ

料理に欠かせないお酢ですが、ワインビネガーやバルサミコ酢などいろいろなお酢を使い分けている方も多いのではないかと思います。

ワインビネガーもバルサミコ酢もブドウから作られる酢ですが、その製法は全く違います。

ワインビネガーはブドウを酵母で発酵させるところまではワインと同じですが、そこに酢酸菌を加えることでアルコールを分解し、酢を作ります。

これは日本酒から米酢を作ったり、アップルワインからリンゴ酢が出来たりするのと同じです。

酢酸菌がアルコールを分解してしまうので、出来上がった酢にアルコール分は残りません。

酢は酒から生み出されることが語源となっていることからも、食文化の中で「酢」と「酒」とは切っても切り離せない関係というのがよくわかりますよね。

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